こんにちは。
天パさんです。
今回も技術について紹介しようと思います。
今回は産業技術総合研究所、通称「産総研」もしくは「AIST]がプレスリリースした技術です。
(本ブログは11月中に書き始めましたが、投稿が遅くなりました。。。)
産総研公式はここで確認できます。
そして記事の元になった論文はこちらです。
https://chemistry-europe.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cssc.202301282
皆さんは水素社会や水素キャリアという言葉を見聞きしたことはありますか?
水素は
H2 + 1/2O2 → H2O ---(1)
という反応で燃えるため、CO2を排出しないクリーンな燃料として期待されています。
また、燃料電池という装置を用いることで、直接発電することもできるため、その利用と普及に向けた研究が、産学官(企業と研究機関と政府)が協力しながら進められています。
問題の一つに「水素をどのように保管するか」ということがあり、「液体にして保管する」「水素を吸う金属に保管する」「化学品に変換する」など様々な可能性が考えられ、研究開発がされています。
今回のギ酸(HCOOH)は「化学品に変換する」の中の一つで、
H2 + CO2 → HCOOH (ギ酸) ---(2)
という風に、CO2を伴って液体として保管が可能になります。
その後はギ酸を燃やしても良いですし、今回AISTが報告したように水素を取り出してから、水素を使うといった選択もできます。
水素を取り出す時は(2)式の反対で
HCOOH → H2 + CO2 ---(3)
という反応で取り出すことができます。
この時CO2も一緒に出てきてしまいますが、発生源が分かっているので回収することも可能かと思います。
問題は(2)式を上手く反応させないと
HCOOH → H2O + CO ---(4)
という反応が起きてしまい、水とCOしか得られません。
このことから、(3)式だけを起こす技術が必要になります。
下図のように、開発した固定化触媒(また機会があれば紹介したいです)を組み込んだ装置を設計し、この(3)式だけを連続的に上手く起こすことができたというのが、今回プレスリリースした主題なのかと思います。(画像は最初に紹介したリンク先から拝借しました)
今回の学び: ニュースはすぐに記事にしないと鮮度が落ちる。
2023.12.10