こんにちは。
天パさんです。
住友化学株式会社(以下、住友化学)の技術がニュースになっていました。
これも以前紹介した「CO2削減」に期待されている技術となります。
住友化学が報告した、今回の技術は
CO2 + 3H2 → CH3OH + H2O ---(1)
という反応となり、こちらもCO2と水素を必要とします。
以前紹介した技術はメタン(CH4)やギ酸(HCOO)を生成・分解する反応でしたが、住友化学の技術はメタノール(CH3OH)を生成する反応となります。
メタノールはお酒の成分(エタノール, C2H5OH)に似ていますが、メタノールは人体に毒となるので飲まないようにしましょう。(お酒もほどほどにですが)
またメタノールはギ酸と同様に、水素キャリアとしての期待や、液体燃料としての期待もされています。(そもそも化学品の原料となるので、優秀な子です)
そういった期待もあり、ノーベル賞受賞歴のあるオラー教授らはメタノール経済社会を提唱していたりします。
最初に紹介した記事の中身になりますが、反応後の熱いガスを冷やし、液体成分を回収することで効率を向上するということが書かれていました。
これは、ルシャトリエの原理を利用したものと思われます。
ルシャトリエの詳細はWikipediaに任せます。
簡単に説明すると。
先ほどの(1)式は、矢印の左から右にいく反応と右から左にいく反応が起こっています。
ボールが高い山から、低い谷へ転がるのと同じで、左の成分(今回はCO2やH2)が多ければ多いほど、矢印の左から右にいく反応が積極的に起こります。
住友化学は左の成分を増やすのではなく、右の成分(CH3OHやH2O)を減らすことで、矢印の左と右に高低差をつけ、左から右への反応を積極的に起こしているんですね。
懸念というか疑問点としては、モノを冷やすというのは結構エネルギーを消費するはずなので、CH3OHの製造量が増えても製造に関するエネルギーが増えてないのかなということです。
流石に熱交換などを上手く組み合わせてるんでしょうけど、今後特許や論文、学会発表での詳細報告を待つしかないですね。
今回の学び: お酒は飲んでも飲まれるな
2023.12.18